2005年8月11日の投稿

2005-08-11
晴れ

ICE 事故ドキュメンタリー

ゆりこ による 18:48:00 の投稿
カテゴリー: テレビ・メディア

ディスカバリーチャンネルで放送された「大惨事の青写真・インターシティ特急脱線事故」を見てみました。これは、1998年6月3日、ドイツの新幹線 ICE (InterCity Express) が脱線して100人近く亡くなった事故を取り上げたドキュメンタリーです。

ICE は高速鉄道の中でも後発で、日本の新幹線、フランスの TGV に遅れること 1991 年に開業しました。後発なのに高速鉄道では最初の大事故ということで、世界のマスコミで大きく取り上げられました。高速鉄道の安全神話が崩れたわけです。

番組では、原因究明の経過を伝える他に、いち早く現場に駆けつけた警官や数少ない生存者にスポットを当てていたのが魅力的でした。まだ回復しきっていない被害者が、慰霊祭にお参りして、帰りに事故の発生した路線に乗るシーンは、心の傷を乗り越えつつあることを示した印象的なものです。

で、注目の事故原因は、弾性車輪を採用したことでした。弾性車輪とは、車輪が3輪構造になっていて、外輪と内輪の間にゴムを挟んだものです。路面電車など低速な鉄道では乗り心地改善や騒音低減のために、よく採用されていますが、高速鉄道での採用は初でした。当初は、新幹線や TGV と同じ一体整形の車輪を採用していましたが、乗り心地が悪かったため、それを改善するために弾性車輪の採用を決めたのです。空気バネを採用するには時間もコストも不足していたようで。

ところが、高速鉄道での弾性車輪の採用は実績がありませんでした。ゴムにどれだけストレスがかかるか、どれだけ走行したら交換したらいいかなどのノウハウは全くなし。結果的に、メンテナンスが不十分となり、走行中に外輪が破損・分解して車体にめりこみました。さらに、ポイント通過時に破損した車輪がガイドレールを浮き上がらせ、後続車両がそれを巻き込んで脱線し、高架橋の橋桁に衝突して残りの車両が積み重なる結果となりました。脱線したところに橋桁があったのが不運だったというわけです。

現在の ICE は弾性車輪を廃止し、一体型車輪になっているようです。そして、空気バネにより乗り心地改善を行なっているようです。結果として、高速鉄道の安全性は挽回されたわけです。

それにしても、ICE が走る様子を見ると、在来線と高速鉄道が同じ路線を走っているように思えます。もともと在来線も標準軌だったこともありますが、日本みたいに「原則として新規別線」という方針にしていないんでしょうね。北陸新幹線なんかは、在来線がすでに高速走行に対応しているので、別線の建設をせずに狭軌のまま250km/h走行すればいいのに、と思います。そうすれば大阪駅に乗り入れできて便利ですし。