コミュニティータグの投稿

「法林浩之的ITコミュニティ運営論」を聴講して
3月13日(土)に開催されたオープンソースカンファレンス神戸で、「法林浩之的ITコミュニティ運営論」というセミナーを受講しました。20年に渡ってITコミュニティーを運営してきたノウハウが詰った内容でした。以下、わたしなりにまとめておきます。詳しくは動画を見ましょう。
- 他団体との積極的な交流
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- 同業コミュニティーを集めたイベントはおもしろい
- 例: Internet Wook, LL イベント, 関西オープンソース, オープンソースまつり、Gadget 1
- 人はアウェイで成長する。個人もコミュニティーも外部と交流して刺激を得よう
- 制限しない
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- 団体名などにとらわれて活動にしばりを入れない
- ガジェットも UNIX 系OSだからいいや、etc
- 「大阪大学フォークソング同好会」では誰もフォークなんかしてなかった
- 定義しない
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- エンジニアは定義したがる
- イベントやコミュ運営では整然としたルールでは説明できない事象が多い
- 人によって対応を変えなくてはいけない
- 機械的な多数決では決められない
- KOF の開催当初は「Freeware」という名称でモメた
- Lightiwetight Language イベントは「LL言語」を厳密に定義していない
- コミュニティーは持ち寄り
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- 各自が、人/モノ/金を持ち寄って運営
- 持ち寄ったものはそこで消費される
- 提供者に対価を払うことを目的としていない
- 例: JUNETジンギスカンパーティー における「J2スピリット」
- 例: jus の財政は、年会費で事務局を運営しイベントは行事ごとに収支均衡
- 粘り強く
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- 構築は瞬発力。運用は持久力
- 開発系の人は、瞬発力はあるが続かないことが多い
- 継続はマンネリとの戦い。マンネリを防ぐ工夫を
- 例: LL イベントは毎年名称/ロゴを変えている
- 懇親会ネタ
- 懇親会の会費は業界によって違う。OSS系は4000円を上限にしないときつい。ネットワーク系は6000円ぐらいでも平気。それだけ高給取り
「JUNET ジンギスカンパーティー」が事例に登場したのはびっくりしましたが、全般に共感できる内容でした。「コミュニティーは持ち寄り」というのは、わたしもWordBench やカフェ玖伊屋で実践していて気がついていましたが、「制限しない」「定義しない」についても、「そういえばそうなっているな」と感じました。WordBench は「WordPress に興味がある/使っている」だけが参加条件ですし、カフェ玖伊屋も「性的マイノリティーに理解があるなら誰でも参加していい」宴会です。
ただ、それだけに「人付き合いが得意」「会話が上手」じゃないと長く続けられないのかもしれません。人見知りしてしまったり、会話が下手だと、コミュニティーには馴染めず、孤立してしまうのかも。

日本での WordPress コミュニティー
おととい、WordCamp Tokyo 2009 が開催されましたが、今回の実行委員会のメンバーは、WordPress 日本語版開発チームを中心に、有志の方を加えたものでした。実は、WordPress 関連のコミュニティーやプロジェクトは、オープンソースらしく、それぞれが独立したものとなっています。
- WordPress 日本語版作成チーム
- WordPress の日本語版開発に関わっている方たちです。tai さんや tenpura さんなどがメインですね。WordPress 日本語版に関するコアメンバーですが、他のコミュニティーを管理したり管轄しているわけではありません。わたしは参加していません。
- WordPress 日本語フォーラム
- WordPress 日本語版に関する公式フォーラムです。
WordPress 日本語版作成チーム日本語ローカルサイト運営チームが管理していますが、管理者はあまり投稿していなくて、わたしに代表される有志の方が積極的に回答を行なっています。回答者はそれぞれが独立に参加していて、回答者同士のミーティングがあるわけではありません。 - WordPress Codex 日本語版
- Codex 英語版を翻訳するプロジェクトです。ぼのさんがメインです。わたしもプラグイン関連を中心に手伝っていますが、あまり進んでいません。
- WordPress Plugins/JSeries
- 日本独特のプラグインを開発・配布したり、英語プラグインの日本語化を行なって配布しているプロジェクトです。ひろまささんがプロジェクトリーダーですね。わたしの作ったプラグインは主にここで配布しています。一応 Otsukare さんもメンバーとして入っていますよ
- WordBench.org
- WordPress の地域コミュニティー支援サイトです。WordPress MU + BuddyPress を採用して、ソーシャルネットワークみたいなものが構築されていす。Miyoshi さんが立ち上げたものです。
- その他
- 他にも、mixi の WordPress コミュとか、2ちゃんねるの WordPress スレの住人とか、twitter 系もありますが、よく分からない (見てない) ので言及はできません。
で、上記5つすべてに関わっているのは Nao さんでしょう。JSeries の方は、日本語リソースの提供でがんばってくださっています。WordPress におけるキーパーソンの1人ですね。
わたしは WordPress 日本語版作成チームには入っていません。自分のプラグインの開発で手いっぱいなこと、日本語リソースの作成という翻訳作業にはあまり興味が向かないというのが理由です。ただし、日本語リソースの出来に疑問を感じた場合はフォーラムなどを通じて意見を出してはいます。外野として間接的に関与している感じですね。
日本語フォーラムの方は、活発に回答をしているので、管理者権限のオファーもありました。でも、回答するだけなら管理者権限は不要と考えていますので、今のところは不要です。他の回答者が間違ってつけたタグを修正するとか、解決ずみフラグを付与できるだけの軽い権限があればいいんですが……。
なお、前回・今回の WordCamp Tokyo では実行委員会スタッフとして深くかかわったので、日本語版作成チームの面々とは綿密にやりとりを行って、お互いの性格や人物像がだいぶ分かりました。なんというか、WordPress コミュニティーはスキルが高くて個性的な人ばかりだと思います。「WordPress を選ぶセンス」がある人は、そういうものなのかもしれませんね。