オープンソースタグの投稿


IPA が GPL v3 の解説書を公開
4月23日、IPA が GPL v3 の解説書を公開しました (プレスリリース)。IPA オープンソフトウェア・センターのリーガル・タスクグループと、米国 SFLC (Software Freedom Law Center) の共同作業によるもので、各条文ごとに、文章の意図を説明しています。また、v2 との対比を取りつつ解説しているため、GPL v2 を理解する助けにもなるそうです。
わたしは GPL v2 についてはそれなりに理解しているつもりですが、v3 については「食わず嫌い」なところがありました。自作プラグインはすべて “GPL version 2″ のみの指定で、”or later” を外しています。できるだけ早くこの解説書を読破して、GPL v3 が適用できないか検討したいと思います。
また、この解説書をもとに、GPL の勉強会とかもしてみたいですね。オープンソースという言葉はよく知られていますが、その理念まではきちんと理解されていない気もしますし。GPL の場合、ソフトウェアの自由がポイントなんですよね。
[追記] GPL v3 は v2 と「両立しない」(==非互換) なんですね……。WordPress 自体は「GPL version 2 or later」なので、利用者が v2 と v3 の好きな方を選択すればいいですが、テーマやプラグインで v2 固定のものがあると、v3 固定のものと組み合わせて配布するときに、ややこしい問題が起きそうです。それぞれバラバラのプログラムとして「コンベイ」するならばいいんですが、1つのソフトウェア製品としてまとめるときは、ライセンスの互換性問題はとても悩ましいです。

日本での WordPress コミュニティー
おととい、WordCamp Tokyo 2009 が開催されましたが、今回の実行委員会のメンバーは、WordPress 日本語版開発チームを中心に、有志の方を加えたものでした。実は、WordPress 関連のコミュニティーやプロジェクトは、オープンソースらしく、それぞれが独立したものとなっています。
- WordPress 日本語版作成チーム
- WordPress の日本語版開発に関わっている方たちです。tai さんや tenpura さんなどがメインですね。WordPress 日本語版に関するコアメンバーですが、他のコミュニティーを管理したり管轄しているわけではありません。わたしは参加していません。
- WordPress 日本語フォーラム
- WordPress 日本語版に関する公式フォーラムです。
WordPress 日本語版作成チーム日本語ローカルサイト運営チームが管理していますが、管理者はあまり投稿していなくて、わたしに代表される有志の方が積極的に回答を行なっています。回答者はそれぞれが独立に参加していて、回答者同士のミーティングがあるわけではありません。 - WordPress Codex 日本語版
- Codex 英語版を翻訳するプロジェクトです。ぼのさんがメインです。わたしもプラグイン関連を中心に手伝っていますが、あまり進んでいません。
- WordPress Plugins/JSeries
- 日本独特のプラグインを開発・配布したり、英語プラグインの日本語化を行なって配布しているプロジェクトです。ひろまささんがプロジェクトリーダーですね。わたしの作ったプラグインは主にここで配布しています。一応 Otsukare さんもメンバーとして入っていますよ
- WordBench.org
- WordPress の地域コミュニティー支援サイトです。WordPress MU + BuddyPress を採用して、ソーシャルネットワークみたいなものが構築されていす。Miyoshi さんが立ち上げたものです。
- その他
- 他にも、mixi の WordPress コミュとか、2ちゃんねるの WordPress スレの住人とか、twitter 系もありますが、よく分からない (見てない) ので言及はできません。
で、上記5つすべてに関わっているのは Nao さんでしょう。JSeries の方は、日本語リソースの提供でがんばってくださっています。WordPress におけるキーパーソンの1人ですね。
わたしは WordPress 日本語版作成チームには入っていません。自分のプラグインの開発で手いっぱいなこと、日本語リソースの作成という翻訳作業にはあまり興味が向かないというのが理由です。ただし、日本語リソースの出来に疑問を感じた場合はフォーラムなどを通じて意見を出してはいます。外野として間接的に関与している感じですね。
日本語フォーラムの方は、活発に回答をしているので、管理者権限のオファーもありました。でも、回答するだけなら管理者権限は不要と考えていますので、今のところは不要です。他の回答者が間違ってつけたタグを修正するとか、解決ずみフラグを付与できるだけの軽い権限があればいいんですが……。
なお、前回・今回の WordCamp Tokyo では実行委員会スタッフとして深くかかわったので、日本語版作成チームの面々とは綿密にやりとりを行って、お互いの性格や人物像がだいぶ分かりました。なんというか、WordPress コミュニティーはスキルが高くて個性的な人ばかりだと思います。「WordPress を選ぶセンス」がある人は、そういうものなのかもしれませんね。


コード難読化を使ったテーマは使用禁止
WordPress 日本語フォーラムでの質問で発覚したのですが、Padd Solutions による Royal Cyan というテーマはコード難読化を行なっています。footer.php のコードが以下のような感じになっているのです。
<?php /* WARNING: This file is protected by copyright law. To reverse engineer or decode this file is strictly prohibited. */ $o="QAAgOyhjbnE5Jw0NOwCAJ25jOiUAMGFoaHNidSU5DScAEAFsKnNodzAgJTkDQwIPYnUqZWhz A6AODjt3OUERDQBgOHdvdycAkHB3WAVzLy48A4KEAAWwJzg5DgDGRGh3fnVuYG9zJyAQIWQAsDwn NTc3Pyc7BAJla2hgAARuaWFoLyBpZmpiIC48A6ApJwAAO2Ynb3ViYTolb3Nzdz0oKAAAcHBwKXdm ...(中略)... VAHUB6EpDTsodzkNDjsKkHE5mEAA0GNuAHAAgGVoY34BAW9zams5DQ=="; eval(base64_decode("JGxsbD0wO2V2YWwoYmFzZTY0X2RlY29kZSgiSkd4c2JHeHNiR3hzYkd4 c1BTZGlZWE5sTmpSZlpHVmpiMlJsSnpzPSIpKTskbGw9MDtldmFsKCRsbGxsbGxsbGxsbCgiSkd4 ...(中略)... R3hzYkd4c2JHeHNiR3hzYkNnMk1Da3VJajhpT3c9PSIpKTtldmFsKCRsbGxsbGxsbGwpOw==")); return;?>
コード難読化をすると、マルウェアなど危険なコードが書かれていても検出することが困難で、安全なテーマであることが担保できないため、安心して使うことができません。もし使っているならば、使用を中止するべきです。また、作者がユーザーを信用していないというわけで、そういう姿勢も好ましいとは言えません。オープンソースの理念を破壊するものだと思います。
PHP, Perl, Ruby などのスクリプト言語による商用製品などでは、自社の製品を守るためにコード難読化やバイナリー化を行うことがありますが、このテーマは Creative Commons の表示-非営利-継承 3.0 Unported で配布されているため、そうする必然性がありません。むしろ、CC ライセンスを使うならば難読化してはいけないと思います。あと、改変を禁止していない CC ライセンスならば、 コードの改造や解析は許可されて然るべきものです。なのに、1行目で「リバースエンジニアリング禁止」と書いているのは、ライセンスに矛盾するんではないんでしょうか……。